空き家の放置は罰金対象に?知らないと損する法的リスクと4つの回避策

空き家を放置することによるトラブルやリスクを考えてみましょう。

この記事では

  • 放置空き家の直面するリスクとは?
  • 空き家は3年以上放置すると罰金が課せられる?
  • 放置空き家にしない4つの回避策

について分かりやすく解説していきます。

こんな記事を読みました

これは2024年6月3日の「iTVあいテレビ」の記事の抜粋です。

日本郵便四国支社は、去年10月、愛媛県の新居浜郵便局から配達されるはずだった荷物など1500個あまりが空き家に捨てられた状態で発見されたと発表しました。

日本郵便四国支社によりますと、去年10月、愛媛県新居浜市内の空き家の敷地で「郵便物らしき物が放置されている」と、発見した人から新居浜郵便局に連絡がありました。

社員が確認したところ、新居浜郵便局が配達するはずだった荷物などあわせて1588個が、空き家の敷地と郵便受けなどに捨てられた状態で発見されたということです。

放置空き家の直面するリスク

この記事のように、放置空き家を利用されて、こんな事件現場にされてしまう場合もあります。この事件では、配達されるべき郵便物が自分の空き家に廃棄されてしまった訳ですが、一歩間違えば殺人事件などもっと深刻な場合も考えらられます。

今回の比較的軽犯罪なケースでも、空き家所有者は全く無関係という訳にはいかず、さまざまな手続きや処理にまで巻き込まれてしまいます。

雨漏りと倒壊のリスク

家は人が住まなくなると、その劣化のスピードは驚くほど早くなります。人が住んでいる家と違い、気付かないうちに雨漏りが進行しているケースが多いのが実情です。

空き家の雨漏りを放置してしまうと、さまざまなリスクがでてきます。

  • 建物の耐久性が著しく低下してくる
  • シロアリやカビなどが大量発生する
  • その結果、基礎部分や柱部分が腐食する
  • 地震や台風が原因で倒壊の危険性が高まる
  • 雨漏りを原因とした漏電による火災も少なくない

このように様々な問題が連鎖的に起こり、最悪の場合近隣住宅に火災が延焼したなどが起こると、その責任が問われて高額な損害賠償を請求される事も考慮に入れておく必要があります。

カビ対策と通風・通水問題による老朽化リスク

空き家が放置されると、常に窓が締め切られた状態となり、カビにとって格好の温床となります。老朽化が進んだ空き家では、わずかな雨漏りが原因でカビが大繁殖するケースも少なくありません。

カビというのは目に見える表面だけではなく、建材の奥深くまで入り込んでいき、そのまま放置しておくと、腐食やシロアリなど建物全体の耐久性に大きなダメージを与えてしまいます。

次に通水の問題です。

水道管は長期間水を通さないでいると、水道管の内部が錆びついて破損しやすくなります。水道管が破損すると、修理や交換に大変な費用がかかってしまうため、定期的に通水する必要があるのです。

また通水をすることで、下水から発生する悪臭が屋内に充満するのを防ぐことができます。しかし家が空き家となって通水しなくなると、排水トラップ内の水が蒸発して下水管の蓋がなくなり、そこから下水から悪臭、ネズミや害虫の進入経路となる可能性もあります。ひどくなると近隣住宅まで汚臭が広がり、クレームになる場合もありますから、やはり定期的な通水が必要です。

雑草除去と害虫・害獣の発生リスク

空き家の庭の雑草を放置してしまうと景観が悪くなるだけでは無く、蚊などの虫の大量発生、野良猫などの動物が住みつき、近隣住民から大クレームとなる事が多いです。空き家を放置するにしても、定期清掃などは怠らないようにしましょう。

不法侵入、ゴミ投棄、放火等の犯罪リスク

放置空き家は様々な犯罪の温床になり得ます。前述した郵便物の不法投棄もその一つです。

自然発火、漏電、人為的な放火、また不法侵入者によるタバコの不始末などが原因で火災が起きた場合、空き家の場合は発見が遅れます。重大な過失が無い限りは損害賠償責任を問われることは少ないですが、近隣住宅に被害が及んだ場合には、所有者の責任が問われる可能性が大きいです。

また誰かに住み着かれてしまった場合も被害は深刻で、勝手に家財道具、水道や電気を使用されたり、ゴミを放棄されたりといった問題が起こります。

このような犯罪に1度でも利用されてしまうと、その後売却するにも風評被害が立ち、買い手がなかなか付かないなど、所有者の負担はより一層厳しいものとなりますので注意が必要です。

空き家は3年以上放置すると罰金が課せられる?

空き家所有者で3年以上「空き家」として放置している割合は60%以上、また今後その家に暮らす予定は無く、取り壊す予定が無い人は80%以上居ます。実は空き家を何年以上・・・という決まりはありませんから、3年経っても法律で罰金が課せられることはありません。

空き家対策特別措置という法律があり、行政の空き家への立ち入り調査や、住民票・戸籍からの個人情報の確認が可能となりました。この法律により、3年など期間は決まってはいませんが、特に近隣からのクレームなどで上がってきた空き家に対しては、いつでも行政指導を入れられるようになっています。

ここが怖いところで、もし行政からの指導が入ると、提示された期間内に改善しなければ「勧告」を受けることになります。勧告を受けると、固定資産税が最大6倍、都市計画税は最大3倍になってしまいます。さらにこの勧告を虫すると、行政から50万円以下の罰金が課せられてしまいます。

その後、空き家は強制的に解体されることになり、その解体費用の全額が所有者に請求されます。その支払いを行えないと、自宅などの資産を差し押さえられ、解体費用の回収が強制的に行われます。

放置空き家にしない4つの回避策

ここでは、あくまで相続した実家に「住まない」事を前提とした解決法を4つ上げてみます。

相続放棄する

相続放棄は、相続を知った日から3か月以内に申告する必要があります。この3か月を過ぎてしまうと、正当な理由が無い限り一切受け付けてくれませんので、注意してください。

さて、相続放棄とは、親から相続する「すべての財産」を放棄することとなり、預貯金は相続して空き家だけ放棄!ということは出来ません。

「いらない空き家を放棄できるのなら」と喜んでばかりも居られないのが相続放棄で、3か月以内に相続放棄が受理されたとしても、次期相続人が相続するまでは、その空き家の管理をし続ける責務を負ってしまいます。相続は放棄したにもかかわらず、次期相続人が現れるまでは、その空き家から離れられないので注意が必要です。

詳細は以下の記事にありますので、興味があれば読んでみてください。

空き家を売却する

住まない「空き家」を売却するには

  1. 地元の不動産仲介業者に依頼する方法
  2. 空き家専門の買取業者に買取依頼する方法

の2種類あります。

地元の不動産業者に依頼するのは、実はあまりおすすめでは無く、2の買取業者のほうがより高額に売却でき、しかも契約完了時間が非常に早いです。

その理由は、1の地元の不動産業者は仲介業のために、買手を探すのに時間がかかり、しかも仲介手数料が掛かります。

それに対して、2の空き家専門の買取業者の場合、直接買取のために最短3日~と超スピーディーで、しかも仲介手数料が掛からないために、より高額に売却できる可能性が高いです。

詳細は以下の記事にありますので、参考にしてください。

空き家を無償譲渡する

「空き家を0円で差し上げます」という、今話題のサービスで、たびたびテレビ番組で特集を組まれているので、知っている人も多いのではないでしょうか。この空き家の無償譲渡サービスは、「空き家を手放したい所有者」と「空き家を安くほしい希望者」とのマッチングサービスです。

日本全国、自治体も交えてさまざまな団体が、この無償譲渡サービスをしていますので、うまく相手が見つかれば、空き家放置問題も解決します。

空き家の0円ビジネス

こちらも今、話題の「空き家0円ビジネス」です。上の無償譲渡と違うところは、空き家はそのまま所有しながら、このサービスを提供するビジネス母体と共同で主に賃貸ビジネスを行っていくことです。

簡単にこのビジネスを説明すると、空き家所有者は「空き家」をそのまま提供し、0円ビジネスの会社が「企画、リフォーム、テナント募集、賃貸管理」を自社の資金から行います。空き家所有者は、リフォーム代など一切の費用を払う必要は無く、0円ビジネスの会社が全額負担します。

リフォームされた空き家にテナント料が入ると、それを一定の取り分で「空き家所有者と0円ビジネス会社」で分け合うというビジネスモデルです。

空き家を売りたくても売れなかったり、子供の頃からの思い出の実家を売りたく無い人には、理想的な方法です。

まとめ

空き家を放置すると、様々な社会問題が発生します。空き家対策特別措置により、自治体から「特定空き家、管理不全空家」に指定されてしまうと、どうにも逃げることが出来なくなります。特に金銭的に、空き家所有者はかなりの打撃を受けてしまいます。

親の実家を相続してしまう人は今、どんどん増加しています。思い入れのある実家でも、そのまま放置するわけにはいきません。この記事で紹介した対処方法を参考に問題解決をされてください。


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