相続はいきなりやってきます。
実家を相続してしまい、しかもそこに誰も住まないのであれば、残される選択肢は・・・
- 何もせず空き家のまま放って置く
- 売却する
- リフォーム、解体して賃貸ビジネスを始める
- 無償譲渡または相続放棄をする
これらはあくまで実家を処分する方法です。
ところが統計によると「思い入れのある実家を売りたくない!」という人が、なんと50%以上もいることが分かりました。
この記事では・・・
- 実家を売りたくない7つの理由
- 売りたくない人がやってはいけない事
- 売らないのであれば、何をしなければいけないか?
- 売らずに有効活用するにはどうすれば良い?
について、分かりやすく解説していきます。
実家を売却したくない人は5割以上?
突然の訃報で実家を相続してしまった人は、毎年増加しています。
住む予定のない実家を相続した場合、空き家となった実家をどうするか?という統計によると、実に50%以上の人が「売りたくない」という結論に達しています。
売りたくない7つの理由とは?
「実家を売りたくない」と答えた人の、その理由を聞いてみると・・・
- 家財道具が残ったままになっている
- 売却や賃貸にだすのは不安だ
- 解体費用をかけたくない
- 相続でトラブル係争中である
- 空き家が遠方なので管理しきれない
- 名義変更をせずにそのまま放置している
- どうせ売れないと諦めている
という結果がでています。
相続してすぐにすべきでない3つの事
実家を相続した場合、あわててやってはいけない事が3つあります。それは・・・
更地にしてはいけない
実家のすでに数年放置していて、かなり建物に痛みが生じてしまっていて、近所迷惑になる前に更地にしよう。というのは非常にやってはいけない選択肢です。
固定資産税と都市計画税は、その土地に建物が建っていればそれぞれ6分の1、3分の1と減額されています。しかし、家を解体して更地にしてしまうと、住宅用地としての特例が無くなるのでそれぞれ6倍、3倍の税額となってしまいます。
駐車場として貸出したい、更地にしてすぐに売却するなどの予定が無いのであれば、更地にしてはいけません。
n 実家を相続して空き家として所有していると、定期的な草刈り、屋根や外壁の修理費などと、いろいろとお金が掛かります。 管理費や固定資産税ばかりかかる空き家を、いっそ更地にして管理費用を抑えよう!と考えがちですが、じつは更地にすると固定資産税が逆に高くなってしまいます。 この記事では...
賃貸のためにリフォームしてはいけない
空き家になってしまった実家を賃貸物件として貸出すためのリフォームも、少し待ったほうが良いです。実家がある地域が「都市部」で「駅チカ」で需要が間違いなくあるのであれば、その賃貸ビジネスもありですが、それも良く専門家と試算した上でリフォームをはじめましょう。
リフォームして賃貸物件とするケーススタディとして、次項にタレントの松本明子さんの苦労した事例を紹介します。
何もせずに放置してはいけない
実家に誰も住む予定もなく、でも思い入れのある実家をどうしても「売れない」ので、そのまま放置してしまうケースが非常に多いです。
空き家として放置すると、毎年の固定資産税、都市計画税、草取りや家屋のメンテなどの管理費用がどんどんと出ていきます。空き家を所有しているだけで、毎年このような費用がずっと続きます。
空き家として放置すると、家屋というものは早いスピードで老朽化していきます。空き家をきちっと管理をしないと、放火や自然発火の危険性、家屋倒壊などの危険性、雑草が伸び放題になり近隣景観に悪影響を与えてしまう、不法侵入や違法占拠など犯罪の温床にもなり近隣住民に迷惑をかけてしまいます。
その成れの果てが「特定空き家」「管理不全空家」に認定されてしまうと、建物が建っていても税金の住宅用の特例減税が外されてしまい、税金が最大6倍ほどに増税されてしまう可能性も十分あります。
これらの負の遺産となる危険性を防ぐためにも、実家を相続したら決してそのまま放置してはいけません。
多くの空き家は、固定資産税が最大6分の1に減免される空家減税が適用されています。 しかしながら令和5年12月13日から見直されることとなり、その場合今まで6分の1に減免されていた減税が外されるかも知れなくなりました。 つまり固定資産税が最悪6倍に跳ね上がってしまう危険性がある!という...
タレントの松本明子さんの大失敗とは?
タレント松本明子さんの体験談が著書「実家じまい終わらせました!」にあるのですが、松本さんはご両親の思い出のこもった実家を売れずに賃貸物件とすることを決め、数百万円かけてリフォームをしたのですが、結局あきらめて売却をしたという実話です。リフォーム代も含め管理費用を1800万円掛け、最終的に売却の査定はわずか200万円だったそうで、大失敗をしてしまったそうです。
この話から分かることは、空き家オーナーが賃貸として貸出しをしても、地域性や利便性、リフォーム代に対する家賃のリターンを専門家とよく討議しながらでなければ、松本さんのように大損をしてしまう可能性が非常に高くなります。
結論として、実家を売らずに賃貸ビジネスなどをするのであれば、自分の思い込みは危険です。有効活用を考えるのであれば、よくその賃貸ビジネスの試算を、できれば専門家とする事をおすすめします。
「売らない」と決めたら絶対にやらなければいけない事?
相続登記は3年以内に!
相続登記とは、実家の所有権移動をする行為です。
令和6年4月1日より、実家を相続したら「相続を知った日から3年以内」に相続登記をしなければいけなくなりました。いわゆる義務化です。
義務化ですから、とうぜん登記をしなければ最高10万円のペナルティを受けますので、いまは必ず相続登記をしてください。
もし登記しないと、実は10万円どころの騒ぎではない、大きな問題に直面します。その一つをご紹介すると・・・
自分に実家の相続権があったのですが、面倒なので相続登記をせずにそのまま放置していたところ、2年後には相続人が99人現れてしまい、裁判沙汰になってしまったという嘘のような本当の話があります。詳細は下の記事にありますので、興味があればそちらもお読みください。
実家を相続(遺言も含む)した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務化されました。 義務を怠った場合には罰則もあるので注意が必要です。 この記事では・・・ そもそも相続登記とは 義務化はいつから始まる? 相...
空き家になった実家のメンテは定期的に!
自宅から離れた場所にある実家を空き家のまま放置するのであれば、定期的な草むしり、家屋のメンテ、屋根や外壁からの雨漏りの修理、瓦の修理、台風後の見回り、放火や自然発火、不法占拠やゴミの放棄などの防犯対策、空き家全体の景観維持をしていかなければなりません。
これらを怠ると、近隣住民からの苦情や自治体からの要請などが入り、無視するわけにもいきません。「特定空き家」「管理不全空家」に指定されることの無いようにしていきましょう。
まとめ
空き家を売りたくない理由は人それぞれですが、誰もが子供時代に育った家族との思い出の実家は、手放したくないのが本音です。
ただ相続した実家を売らないとしても・・・
- お金をかけて解体し更地にすること
- お金をかけてリフォームして賃貸にだすこと
- 何もせずに実家を放置空き家にしてしまうこと
は、すぐに行動を起こす前によく吟味してください。
逆に、今すぐにすべき事は・・・
- すぐに相続登記をする
- 所有するなら定期メンテをする
これらをやらないと、実家がやっかいなトラブルの種となるので要注意です!この2つは必ずやりましょう。